忙しいという字は、心を亡くすと書く。忙しくなると「意味のないこと」「効率的でないこと」を避けるようになる。

私は今年の9月に1ヶ月間、東南アジア6カ国をひとり旅した。テーマは「旅をしながら、その国のクリエイターとコラボし曲をつくる」だった。でも、一番の理由は 「うまく説明出来ないけど、やってみたい!」と思ったからだった。

こういう時、私の中の「効率化命上司」がぴょんと顔を出す。

「それは意味があるの?」
「そんなことをしてどうなるの?」

時々こうして、「効率化命上司」は、結果と意味を求めて私を壁に追い詰めるのだ。

でも、今回はこれに負けてはいけないと思った。子どもは、遊ぶとき意味なんか考えない。「~時までに、終わらせなきゃ!」と思って遊ぶシルバニアごっこなんか楽しくない!

私は自分自身で決めた「こうでなくちゃいけない」に、気持ちの余裕をなくしていた。もっと自由に、ものづくりがしたかった。

実際、旅から帰ってきたいま、振り返ると「無駄な時間」や「目的もなくふと」やったことたちがとてもいい思い出になっていることに気づく。

バスを逃してふらりと入ったカフェ、ふと入った屋台で友達になった女の子、スコールがひどく一歩も外に出られない中仕方なく作った曲。たくさんの目的を持って行った旅だったけど、思い出すのはこういう予定調和ではない中で出会ったことばかりだった。

目的を持つことは大切。目的を持ってなにかをやることは、自分をいい方向に進めてくれるから。だけど、ガチガチになってその過程や、そこへ行くまでの景色を楽しむことが出来なくなってしまってはもったいない。

これからはもっともっと「なんだかよく分からないけど、楽しそう」という感覚を信じて行動できる人になりたい!意味のない遊びを積極的にしたい!

そのためには、自分のなかの効率化命上司とも上手く付き合っていかないと。その時、私の無駄は、宝物に変わるはずだから。

辻詩音
シンガーソングライター。2008年メジャーデビュー。2017年、「世界のクリエイターとコラボする音楽旅プロジェクト〜世界でいぇい〜」をクラウドファンディングで立ち上げ、アジア6ヶ国をひとり旅した。11月にはZepp Diver City Tokyoでワンマンライブが決定。「Sister Magazine The Winter Issue」では、企画部の一員として活動に参加している。
Twitter: @shionnu10
Instagram: @shiontsuji